相続手続きの流れ
こんにちは。2月も早や半ばとなりました。そろそろ梅の便りが聞かれる頃ですね。
さて、今回は相続手続きの流れについてご説明したいと思います。
フローチャートで示すと以下のようになります。ここでは、相続財産が金融資産と不動産で、遺言が無いケースを想定しています。
- 1.遺言の有無の確認
- 遺言がある場合、相続は遺言の内容に従いますので、まず遺言を探して下さい。
自宅で自筆証書遺言が見つかった場合、絶対に開封せずに家庭裁判所に申し立てて検認を受けて下さい(検認の手続きについて法務省のホームページに説明があります)。故人(以下、被相続人という)が、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用していた場合は、法務局から指定した方に連絡があるはずです。
公正証書遺言の場合は、被相続人が正本と謄本を保管していたはずです。もし見つからなければ、最寄りの公証役場に問い合わせて下さい。
以下「遺言が無かった」ものとして説明を進めます。
- 2.被相続人の死亡から出生までの戸籍を遡及して収集する
- まず被相続人の住民票がある市区町村に、被相続人の死亡が記載された戸籍謄本を請求します。その謄本に、被相続人が他の市区町村から転籍したという記載がある場合、転籍元の市区町村にも戸籍謄本を請求します。その市区町村にも他所から転籍している場合があるので、これを出生まで遡及して請求していきます。このように戸籍を遡及収集していくと、転籍が一度でも全部で5~6通位になります(この理由は機会があれば改めてご説明したいと思います)。
なお、請求先の市区町村が遠方であっても、ほとんどの場合、郵送による請求を受け付けています。市区町村のホームページに戸籍の請求方法と請求書の書式が掲載されていることが多いので、そちらをご確認下さい。
戸籍を遡及収集するのは、前回ご説明した法定相続人を確定するためです。一連の戸籍謄本は、銀行解約手続きと、相続による不動産の所有権移転登記に必ず必要となります。
※令和6年4月23日補足:令和6年3月1日から、電子化された戸籍の広域交付制度が始まりました。これにより、最寄りの市区町村の窓口で、一括して戸籍を遡及請求できるようになりました。平成6年戸籍法改正以前の手書きの改製原戸籍や除籍でも、電子化されていれば交付してもらえるようです。
請求できる戸籍は、本人、配偶者、直系尊属(父母・祖父母等)、直系卑属(子・孫等)のもので、きょうだいは対象外となっています。また、身分証明書を提示して、窓口で請求する必要があります。
詳しくは、法務省のホームページをご覧頂くか、最寄りの市区町村にお問い合わせ下さい。
- 3.被相続人の財産と債務を調査する
- 財産:不動産、銀行預貯金、株式、投資信託、NISA、個人型確定拠出年金(iDeco)、生命保険、自動車など。
※不動産は固定資産税評価額も確認します。毎年市区町村から送付される固定資産税納付通知書の中に記載があります。登記簿謄本も入手しておいた方が良いでしょう(法務省の登記・供託オンライン申請システムからオンライン請求できます)。
債務:借入金、ローン、不動産の賃貸借契約(賃借料支払い義務や明け渡し義務の発生)など。
財産と債務の残高を具体的に調査します。抜けがあると長期間困る場合があるので、慎重に行って下さい。
また、金融機関に残高照会を行う場合、請求者が法定相続人であることを示す戸籍謄本が必要となるのが一般的です。
※令和6年7月18日補足: 原則、被相続人のお亡くなりになった日の翌日から10か月目の日までに、相続税の申告を行う必要があります。大まかにいうと、財産から債務を差し引いた額が、「遺産に係る基礎控除額(=3,000万円+(600万円x法定相続人の数))」を超える場合、相続税の申告をする必要がありますので、この時点で、相続税の申告が必要かどうかを確認しておいた方が良いでしょう。
配偶者の税額軽減があるなど、具体的な相続税の計算は複雑ですので、詳しくは、国税庁のパンフレットをご覧頂くか、お近くの税理士にご相談下さい。
- 4.必要な場合、限定承認や相続放棄の手続き
- 被相続人に多額の負債があったり、遺産を相続したくない場合には、相続放棄や、限定承認の制度があります。
限定承認:相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務および遺贈を弁済することを留保して、相続を承認すること。共同相続人全員が共同して行う必要がある。
相続放棄:相続によって権利義務を一切承継しない意思表示をすること。
いずれも、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述(しんじゅつ)しなければなりません。
私は第1回の「相続の基礎」で、「相続手続きは気持ちが十分に落ち着いてからで良い」と申し上げました。しかし、多額の負債があるなど、相続が負担になる可能性があることを知った時点で、上記、1~3までの作業をできるだけ早く済ませて、限定承認や相続放棄を検討した方が良いと思います。
法務省のホームページに手続きの説明があります(限定承認、相続放棄)。
お手続きが難しい場合は、お近くの司法書士にご相談下さい。
- 5.共同相続人間で遺産分割協議をする
- 法定相続分を考慮しつつ、全員が合意できる内容にして下さい。
後の紛争を避けるため、その合意内容を遺産分割協議書として文書化し、共同相続人全員が実印を押印し、それぞれが保管します。
- 6.金融資産の解約手続きや債務の返済をする
- 金融資産の解約手続きについては、多くの場合、解約手続き書類に共同相続人全員の実印の押印が求められます。これが合意の根拠となるので、遺産分割協議書は必ずしも必要ではありません。
一般的に解約金は、解約手続き書類に記載された割合または金額に基づき、それぞれの共同相続人の口座に振り込まれることが多いようです。但し、ゆうちょ銀行の場合は、代表相続人に一括して振り込まれます。
解約手続きの仕方は金融機関によって異なりますので、各金融機関のホームページ等でご確認下さい。
必要な場合は、債務の返済をします。
- 7.不動産の所有権移転登記申請
- 特定の相続人が不動産を相続することになった場合、共同相続人との間の法定相続分との差分を金融資産の分配により調整することが多いと思います。それが完了した後、不動産の所有権移転登記申請が相続手続きの最終段階になってくると思います。
相続による所有権移転の法的根拠として、押印のある遺産分割協議書が必要となります。
手続きの仕方については、法務省のホームページに相続登記のパンフレットがあります。オンライン申請も可能です(かんたん登記申請)。
お手続きが難しい場合は、お近くの司法書士にご相談下さい。
フローチャート内に説明を記入しましたので長くなってしまいましたが、以上が遺言がない場合の相続手続きの流れです。
農地など相続財産によっては、ここでは割愛した手続きが必要となる場合があります。
所要期間としては、3か月から1年がひとつの目安かと思います。場合によっては数年かかっても遺産分割協議がまとまらない場合もあります。煩雑で時間のかかる作業なので、精神的にも疲れるかと思います。
当所は、戸籍の遡及収集、法定相続人の確認、不動産を含む財産調査、遺産分割協議書作成と各相続人様に署名・押印のお願い、金融資産の解約・名義変更または各相続人様への分配、自動車登録の名義変更などをお手伝いすることができます。お気軽にご相談下さい。
一方で、遺言がある場合、相続は遺言の内容に従います。
その執行については、多くの場合遺言に、遺言執行者として、共同相続人の一人や遺言者が信頼していた方、士業の方などが指定されています。共同相続人以外が指定されている場合、その方に遺言の執行を依頼して下さい。遺言執行者が遺言の内容を実現することになります。
遺言書に特約の無い限り、遺言執行者はその遺言執行に関する事務を第三者に委任することができます。当所は、遺言執行者様からの遺言執行に関するご相談も承ります。
以上、皆様のご参考になれば幸いです。何かご不明な点があれば問い合わせフォームからご質問下さい。
次回は遺言についてお話ししたいと思います。
それではまた次回。gutes Leben!! 良き人生を!!
グーテス・レーベン行政書士事務所
行政書士 吉田 裕昭


